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「矯正専門医」大塚 淳の一診入魂

口の体操あいうべ 今井一彰著

お奨めの本

【こんにちは 大塚矯正歯科クリニックの大塚 淳です】

今日はお奨めの本です

口の体操あいうべ

今井一彰著

 皆さんは鼻呼吸ができていますか?私は目の前の話し相手が鼻呼吸をしているか口呼吸をしているかを観察することがあります。鼻呼吸ができないために起きやすい睡眠時無呼吸症候群を治療する矯正歯科医の職業柄なのでしょうか、口や舌の動きでそれが分かるのです。

 今回紹介するのは、舌と口の周囲の筋肉を鍛えて自然に鼻呼吸ができるようにする「あいうべ体操」の効用と正しいやり方を解説しています

 著者はその考案者です。

 口呼吸がダメで鼻呼吸がベターな理由を説明しましょう。

 口呼吸は口の中の粘膜を乾燥させ、だ液による殺菌作用が落ちて風邪を引きやすくなります。冷たく乾いた空気を直接吸い込むため、インフルエンザにもかかりやすいのです。一方、鼻呼吸は菌やウイルスを取り込んだとしても鼻毛や鼻粘膜の表面の線毛などでとらえられ、体内に侵入するリスクが低いのです。著者は本書で「鼻は加温加湿機能付きの空気清浄機」と形容していますが、言い得て妙です。

 鼻呼吸ができているかどうかのセルフチェック方法があります。口を閉じた時の舌の位置を確かめてください。上あごに付いていればOKです。鼻呼吸ができています。舌あごに付いていれば口呼吸です。風船を膨らませ途中で止めることができますか。できない人は口呼吸の可能性があります。

 「あいうべ体操」は「あー」と口を大きく開け、「いー」で横に広げ、「うー」ですぼめ、「べ」で思い切り伸ばします。1日30回、1カ月以上続ければ少しずつ鼻呼吸ができるようになります。

 いびきや歯ぎしり、睡眠時無呼吸症候群も改善されます。睡眠の質が上がれば、副交感神経が優位になり、血圧も下がります。6、7歳ごろまでなら、歯並びの矯正につながる可能性もあるでしょう。

 私は10年ほど前から患者さんにこの体操を推奨しています。舌裏の舌小帯というひだが生まれつき短く舌の動きが不完全な子どもがいます。以前は手術を勧めていたのですが、体操をすれば自然に伸びることが分かったので、一切やめました。

 年を取れば、だ液の分泌量が減るため風邪を引きやすくなったり、口の周りの筋肉が衰え誤嚥性肺炎を招いたりします。お年寄りもぜひ実践してほしいと思います。

 矯正歯科医がお話しできるのはこの辺りまででしょうか。本書にはリウマチ、クローン病、アトピー、うつ、パニック障害などさまざまな病気に効果があり、頬が引き締まり美容にも良いとも書かれています。しかし、その辺のところは専門外なので分かりません。

 赤ちゃんが母乳を吸うことは人間にとって最初の舌と口のトレーニングだと言われています。赤ちゃんに負けないよう、訓練をしてみませんか。

 


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